結論から言いますと、異臭や悪臭を発生させやすいのは、酸素がない場所を好む「嫌気性菌」の働きによるものが多いです。
発酵と腐敗の、菌の働きから見た違い
「発酵」と「腐敗」は、どちらも微生物が食材の成分を分解する作用ですが、生成される物質の人間に対する影響で区別されます。
- 発酵:微生物が分解し、人間に有用な物質(美味しい成分や栄養素)を生み出す現象です。
- 腐敗:同じ微生物の分解作用によって、人間にとって有害な物質や不快な臭いが生じる現象です。
🧐 嫌気性菌と好気性菌の比較
特に異臭と関連が深いのは、酸素の有無に関わる菌の性質です。
| 菌の種類 | 酸素の必要性 | 主な働き | 臭いの傾向 |
|---|---|---|---|
| 嫌気性菌 | 酸素が不要 | 腐敗(分解)や発酵 | 悪臭(硫化水素など)を発生させる種類が多い |
| 好気性菌 | 酸素が必要 | 菌の増殖や発酵 | 良い香り(酢酸など)やカビ臭さを出す種類もあるが、悪臭は少ない |
なぜ嫌気性菌が強烈な異臭を出しやすいのか?
嫌気性菌は、主に土の中や動物の腸内など、酸素が少ない環境で活動する菌です。
分解の過程で悪臭ガスが発生
嫌気性菌が、タンパク質などを分解(腐敗)する際に、硫化水素やアンモニア、インドール、スカトールといった物質を作ることがあります。これらが、私たちが「異臭」や「くさい」と感じるガスの正体です。
例:お肉の腐敗臭や生ゴミのきつい臭いなどがこれにあたります。
発酵菌との違い
お味噌やぬか漬けといった発酵食品でも、一部の菌は嫌気性的に働きますが、発酵を担う菌(酵母や乳酸菌、麹菌など)は、人間の体に良い影響を与える有機酸やアルコールを作り、これが独特の良い風味となります。
嫌気性菌全てが悪玉菌というわけではありません。しかし、腐敗に関わる嫌気性菌が特に強烈な悪臭を出す傾向がある、とお考えください。
まとめ:発酵と腐敗を分ける「有用性」✨
「菌の働き」という点では、発酵も腐敗も同じ分解作用です。しかし、その結果、私たちにとって「良いもの」ができるのが発酵、「悪いもの」ができるのが腐敗と分けることができます。
発酵食品では、麹菌(好気性)、乳酸菌(主に嫌気性)、酵母(通性嫌気性)などが互いに協力し合い、雑菌(腐敗菌)の活動を抑えながら、安全で美味しい成分を作り出しているのです。
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